今日は山の日。
山の日と聞いて、あの日のことを思い出しました。
それは高校1年の春。
二日目のメインプログラム、蒜山登山です。
蒜山は、上蒜山(標高1,202m)、中蒜山(標高1,123m)、下蒜山(1,100m)の三山からなります。
どの山を登ったか記憶にないですが、一つの山の登山所要時間2〜4時間らしいです。
その日、私たちの班は楽しく話しながら登山してました。
山頂付近に着いた頃、「ちょっと休憩させて」と言って座ったEちゃん。
前夜、私たちは早く眠ったのですが、Eちゃんはどうやら寝付けなかったとのこと。
山頂でついに体力消耗したのでしょう。
目を閉じて眠り始めたEちゃん。
「そろそろ行こうよ」と起こしても起きません。
どんなに揺すっても、大声で呼んでも、全く起きません。
「Eちゃん、起きて!」
叫んでいる私たちを横目に、たくさんの他の班が通り過ぎて行きます。
これはヤバイ。
昏睡状態だ。
異変を中継地点の先生に知らせ、山登りが趣味の先生・ジローが駆けつけました。
ジローはEちゃんのほっぺたを激しく叩きました。
「起きろぉぉぉー!!!! 〇〇〇(名字)!!!!!」
完全に無反応。
ついに救助を呼ぶことになりました。
しかし山頂が狭いためヘリコプターが着陸できないので、隣の山の広めの場所へ行ってくれとの指示。
は? もうひと山を登る?
さらに歩かねばならない私たち。
縦走のルートを進むため、傾斜のある木々の間を縫うような登山道を進んでいきます。
ジローはぐったりしたEちゃんを背中におぶって歩きます。
そして次の山を目指します。
さすがのジローもフラフラ。
生まれたての子馬のような足取りです。
私たちも黙々と歩きます。
やっとこさ着いた広い中腹地点。
ああ、これでやっとヘリコプターで帰れるんだ!
「ヘリコプターが見つけやすいように、タオルを振れ!」
ジローの指示に従って私たちは空に向かってタオルをグルグル振り回しました。
どんどん近づいてくるヘリコプター。
まるで映画のワンシーンのように、風が舞い上がり旋回して着陸。
岡山県消防防災ヘリコプター「きび」
救急隊員が降りて来てEちゃんを運びました。
次の瞬間、ヘリコプターのドアはバタン!と閉まり、颯爽と飛んで行きました。
……え?
私たち乗せてもらえないの?
そうです。自力下山できる人は乗せてくれません。
ああ、勘違い。
ポカーンと立ち尽くす私たちにジローが一言、
「さ。下山するぞ!」
手にはヘリコプターに向かって振り回したタオルがプラーンと垂れ下がっていました。
気を取り直して、タオルを首に巻き直して下山したのでした。
時が経ち、夏フェスなどで観客が一斉にタオルを振り回すシーンを見るたびに、あの日のタオルを思い出すのです。
ヘリコプターを誘導する高揚感。
夏フェスの興奮と少し似ているかも。
ちょっぴり切ない気持ちに包まれます。
Ah 真夏のJamboree〜♪
そして山の日の今日、改めて思います。
山をなめちゃいけねぇ…(*゚∀゚)
おわり