「しそ梅かつお」
私にとってそれは梅干をすり潰してかつお節と合わせた商品のこと。
昔、父が静岡に行った際の定番のお土産でした。
仕事柄、様々な地方に行っていた父が買ってくるお土産の中で、家族みんなが「美味しい!また買って来て!」と認めた唯一の商品でした。
私が15歳の時に父は他界したので、誰も静岡方面へ行くことも無く、同じ商品に再会することは無くなりました。
私は未だにその味が忘れられず、ペースト状の梅を見つけては試してみるも、ちょっと違うなぁと密かに「しそ梅かつお探し」を続けていました。
甲子園に住んでいた頃のこと。
近所の小さなスーパーの瓶詰め系ごはんの友コーナーに梅ペーストの瓶が。
磯じまん 山海ぶし
早速、買って食べてみたら、あの日の「しそ梅かつお」の味に限りなく近かったのです。
意外と身近にあったことに拍子抜け。
「山海ぶし」の方が甘さが強いのですが、懐かしい味に似ているだけで満足です。
食べるたびに父を思い出します。
味覚の記憶って、とても鮮やかです。
家族団らんの食卓の場面に簡単にタイムスリップできてしまう。
幸せだった頃の記憶。
買ってきたお土産にみんなが喜ぶ姿に父も幸せだったはず。
今月、父が他界して30年の命日を迎えます。
この数年は自分の生活に没頭していて、父を想う時間は減ってきていました。
昨日、久しぶりに「山海ぶし」を買って食べたら、また鮮やかな記憶に包まれて幸せでした。
紅葉の美しい時に、息子を連れてお墓参りに行こうと思います。
おわり