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【旅】安土城跡、特に何もない。

2023年6月4日、息子と安土城跡へ行った。
敬愛する織田信長様が栄華を誇った地、安土城
滋賀に移り住んで10年、電車で安土駅を通過するたびに安土城跡あたりを眺めては在りし日の安土城へと想いを馳せていたのだが、寂れた雰囲気が漂う景色を見るにつけ悲しみがこみ上げるばかりで、どうしても一人では行く気になれずにいた。

しかしこのたび息子が行ってみたいと言ったので、晴れて信長様を偲ぶ旅が実現した。


安土駅を降りると、特に何もないロータリーに信長様がいらっしゃった。

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安土駅から特に何もない住宅街を歩くこと約30分、安土城跡に到着。
安土城跡の入場に700円、摠見寺特別拝観(抹茶&菓子付き)に別途500円を支払って入った。
受付にて無料貸出の杖を借りて、大手道の石段を上って行く。
石段のそこかしこに「仏石」と書かれたポイントが。
これは安土城建設のためにたくさんの石が必要だったため、墓石をも建材として提供させたという無茶な信長様のエピソードを思い出させるものだった。


大手道から右に続く道の先にある摠見寺を拝観した。
入口からすぐの広間に信長様の凜々しいお姿の肖像画が飾られていた。

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この肖像画を観られて、ここへ来て良かったと思った。
信長様の生きていた証がここにあるということだけで胸がいっぱいになった。

廊下を奥にすすんだ部屋にてお抹茶とお菓子をいただきながら、しばし休憩をとる。
お寺の方に御礼を告げて摠見寺を出た。

ふたたび大手道に戻り、不規則な高さの石段をひたすら上る。
これがなかなかきつい。杖を借りて正解だった。
途中で羽柴秀吉邸跡や森蘭丸邸跡があったがその痕跡は特に何もなく、生い茂る木々の一部と化していた。
そこからさらに上ったところに本丸跡、天主跡があった。
きっとあったのだろうな……という感じの特に何もない空間が広がっているだけだった。
山頂付近は生い茂る木々のせいで景色があまり見えない状態で、信長様が見下ろしていた風景はこんなものではなかったのだろうと思われた。

天主跡からは下山するルートになるので、大手道ではない石段をひたすら下りていく。
しばらくすると二王門が見えてきた。
門には金剛力士像が鎮座していて、この場所を睨みを効かせながら護り続けておられるようだった。


ほぼ下山した辺りで最初の大手道に合流し、受付に借りていた杖を返却して安土城跡を出た。
約1時間の散策だったが、これは立派な登山だ。
信長様への興味が無ければ、ただただきつい登山だ。
途中の摠見寺拝観が無ければ、見どころと言えるところは特に何もない(個人的感想)。むしろ信長様の栄華の痕跡をことごとく消し去っていることに感心するばかりだった。
やはり悲しみがこみ上げてきてしまった。一人で訪れるには悲しすぎる場所だ。
息子がいてくれて心強かった。


ここからさらに24分歩いて「安土城考古博物館」と「安土城天主信長の館」を見学し、また歩くこと22分、安土駅へと歩いて戻った。
手元のスマートウォッチの歩数計を見ると、16,337歩と表示されていた。距離は10.71㎞だった。こんなに歩いたのは久しぶりだ。
普通ならクルマで行く観光ルートだが、息子と一緒だったから歩けたのだと思う。
のどかな田園の道を歩きながら、次は明智光秀ゆかりの西教寺へ行こうと息子と約束した。

 

おわり